2025年3月、東京国際フォーラムにて【ART FAIR TOKYO 2025】が開催されました。
夢工房では、「四代田辺竹雲斎展 - 共生 Symbiosis」を展示致しました。アートフェア東京での四代竹雲斎展は3回目となります。
今回は、「何か新しいことに挑戦したい」という作家からの提案がありました。田辺竹雲斎の創作活動を支える重要なキーワードに「守破離」があります。連綿と続く伝統的な作風や編組技法を受け継ぎながら、それらを超え、当代独自の新しい作品を生み出していくというものです。彼がその新しい挑戦に選んだテーマは「共生 Symbiosis」であり、「土」という素材との共生でした。竹は根を張る土壌に支えられ養われ、土は竹の根により固定され保護されて浸食を防いでいます。竹と土は互いに共存しているのです。彼のフィールドは竹林です。竹と土がどのように共存し調和しているのか、彼は幼い頃よりそれを体感してきたことでしょう。今回は新しい挑戦でありながら、実はその本質は子供の頃から培われてきた感覚だったのかもしれません。
けれど自然環境の中で、竹と土が共存していると言えども、それを竹雲斎の作品でどのように表現していくのかは、さまざまな試行錯誤があったはずです。さらに、昔ながらの竹を使った土壁、竹小舞という技法が後継者不足により衰退の一途を辿っていることも、今回の新しい挑戦のきっかけになっています。竹小舞の土壁を利用したインスタレーション、竹と土のアート作品は、どれも美しく調和していて会場は居心地の良い空間となっていました。四代田辺竹雲斎が表現した新しい挑戦「共生 Symbiosis」を、多くの皆様に見ていただき、共感していただけたことで、この新しい挑戦がさらなる挑戦へとつながっていくことでしょう。