誰ガ為(たがため)/ For whom
W:240mm x D:150mm x H:280mm
材 : 楠 / material : camphor tree
「祈り」とは・・・
まさに、この展覧会の基本概念であり、加藤巍山自身がその人生を懸けて問い続けている大切なものです。
「祈り」は、行為です。
どんな行為なのでしょうか。
私たち人間は、より快適な生活や便利さ、物質的な成功を求めて加速度的に発展を遂げています。
失敗や不安、すぐに結果が出ないものに価値を見出さなくなり、自然が持つ美しさや生き物すべての営み、人間に与えられた役割など、本来あるべき世界の姿を忘れてしまっています。忘れているというより、そこに蓋をして見なくなっているようにさえ思えます。
彼は、そこに危機感を持ちつつも、「祈る」という行為は何千年先までも存在すると確信しています。
なぜなら、祈ることは人間だけに与えられた行為です。人は根源的に「祈る」という本質を持っています。
宗教的な意味を持たない「祈り」でもよいのです。
自分を大切し、誰かを想い、自然を愛する心が「祈り」となります。
こちらの作品は、作家自身の手を原型として制作されています。
彼の「祈り」に対する信念が表現されており、人間に与えられている「祈る」という行為を私たちに思い出させてくれているのです。