京都店に木彫りの熊が飾られていました。
どっしりとした姿と荒々しく削られた彫り跡、動かない木彫りの置物だけど、生命力に溢れる不思議な熊です。
最近、木彫りの熊が人気のようで、展覧会が開催されていたり、雑誌で特集記事が掲載されているのを目にします。
なるほど、やはり魅力的なものです。
木彫りの熊といっても、繊細に毛並みを彫り込んだ写実的なもの、面彫りというザックリと削った抽象的なもの、熊を擬人化した遊び心のある表情豊かなものなど、種類や大きさも豊富にあるようです。
お土産品として制作されたもの以外にも芸術作品として位置づけられた熊も多く、生産地域の特色や時代の流行、作家の個性など楽しむ要素は多岐にわたります。
この熊と出会ったことで、今まで知らなかった木彫りの熊の魅力を再認識しました。
この熊は、昭和期に北海道八雲町で活動されていた引間二郎(木歩)の作品です。
とがった鼻先、つぶらな瞳、太くて強そうな手足。
面取りされた削り跡が光を乱反射していて、全体から野生的な荒々しさを感じ取ることができます。
背中には、あえて削り残した突起があり、何かしら作り手の意図があるようです。そんなことに思いを馳せながら眺めている時間は、楽しいものです。
木彫熊
引間二郎(木歩)
Size 30.5cm x 18.5cm x 21.5cm